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メイキング・オブ・『わたしたちのルノワール』最終回 ~展覧会を広報する~

【熊本展が終了し、巡回展が無事スタート】
 開幕から1週間後に発生した熊本地震の影響で、会期途中に臨時休館となった熊本展。作品に被害はなく、無事に会期を終えました。9月22日には、次の会場となる静岡市美術館で開幕。初日は、開場前から50人以上の美術ファンが列をつくり、来場を待ってくださいました。当日の来館者数は1,759人で、同館の初日としては過去最多を記録したそうです。

【展覧会の広報】
 静岡展は幸先のよいスタートを切りました。事前の広報活動が功を奏したのだと思います。早くから静岡駅構内でPRを展開し、美術館周辺にも大規模にポスターを掲出していました。1か月前に私が宿泊したホテルにもチラシが置かれ、ランチをした蕎麦屋にもポスターが貼ってありました。

 展覧会の広報は、主に共催するメディア、すなわち新聞社や放送局が中心となって行います。ただ、静岡市美術館ではメディアに頼るだけでなく、2人の広報担当者が交代で特別展の広報を担当しているそうです。
 私は新聞社や放送局で展覧会の現場を経験してきたので、広報PRについてはそれなりのノウハウを持っているつもりです。放送(電波)や新聞紙面での広報を「空中戦」と呼ぶ一方、あちこちにポスターを掲示してもらったり、チラシを置いてもらったり、文化団体や学校、人が集まる場所などでこまめにPRしたりすることを「地上戦」と言っていました。また、前売券を幅広く販売することも大切です(前売券がどれだけ売れているかは、展覧会の成功を占う指標の一つです)。こうした、考えられるさまざまな広報PRに取り組んできました。近年は、もちろんSNSでの発信も欠かせません。展覧会の場合、内容がよいことはもちろんですが、それをどれだけ多くの人に届けられるかが重要なのです。

 静岡市美術館の広報体制は、広報担当者を置いていない公立美術館もあるなか、しっかりしたものです。いくら展覧会の内容がよくても、伝わらなければ人は来てくれません。同館では特別展だけでなく、美術館全体やワークショップなどの交流事業についても広報しています。また、JRや私鉄の車内・駅構内でのポスター掲示、美術館近くの商店街とのタイアップ、全国の美術館や市内の学校・公共施設への広報物の配布なども、日常的に行っているそうです。

 私は、日本の美術館にもマーケティングを担う部署が必要だと思います。何をやるか(展覧会の制作力)、どうプロモーションするか(広報力)、入場料以外にどのような収入を確保するか(営業力)、経営上の数字をどう見るか(経営力)。学芸員が何もかも担い、よく言われる「雑芸員」のような状態では厳しいですね。ただ、多くの美術館には、そこまで手を広げる余裕がないということなのでしょう。

【新たに会場映像を追加】
 さて、展覧会を解説する新たな映像が完成し、第2会場となる静岡会場からご覧いただいています。展覧会の見どころに加え、ルノワールに愛された日本人画家・梅原龍三郎の曽孫にあたる嶋田華子さんや、本展を監修した三浦篤さん(大原美術館館長)のインタビューなどを収録しています。

 静岡展の後、ルノワールの作品は大分、東京、岡山へと旅を続けます。11月23日に開幕する大分展の準備も、すでに大詰めを迎えています。

【そして今は】
 そして今は、来年開催する『棟方志功展』や、再来年開催する『岡本太郎展』の準備を進めています。「先を行く人じゃまです」――棟方志功の言葉です。「芸術は爆発だ」「本職?本職は人間だ」――こちらは岡本太郎の言葉です。二人とも「考え」と「エネルギー」をその芸術作品に込め、私たちに迫ってきます。とても興味深い二人です。棟方志功展は来年2月から宮城、静岡、新潟、長崎を巡回します。岡本太郎展は福岡、岐阜、石川、広島、兵庫での開催を予定しています。今、二つの展覧会の構成や内容を、さまざまな人たちとチームを組んでメイキングしています。

【参考】
静岡市美術館HP TOP | 静岡市美術館 TOP | 静岡市美術館
大分県立美術館HP 大分県立美術館(OPAM)大分県立美術館(OPAM)

筆者:のぎめてんもく

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