【博物館でお菓子?】
この秋、九州国立博物館(以下九博)や太宰府市内で「シュガーアイランド九州菓子祭り」が開催されました(主催は九博、福岡県、太宰府観光協会、太宰府市でつくる実行委員会)。
TNCプロジェクトは、この企画をプロデュースしました。九州国立博物館で何故、お菓子の企画を開催したのか?
九州のお菓子文化は、砂糖が運ばれた『シュガーロード』によって大きく花開きました。
長崎から小倉へと広がった甘味は、各地に個性豊かな銘菓を生み、現代では進化を遂げたスイーツとして再び注目を集めています。
「シュガーアイランド九州菓子祭りinだざいふ」では、シュガーロードにまつわる展示物をはじめ、歴史を受け継ぐ老舗の逸品と、九州各県のこだわりのお菓子を一堂に集めました。
太宰府には、お菓子の神様・菓祖「田道間守命(たじまもりのみこと)」を祀る中島神社があり、文化と味覚の結び目として親しまれています。
伝統と革新、歴史と未来が交差する『甘い九州』を、この機会に存分にご体感ください。
(この企画のパンフレットから)
博物館には「歴史、民俗、産業~歴史的生活文化」などのテーマがあります。江戸時代に長崎にもたらされた砂糖によって九州は菓子文化が生活の中に溶け込んだ地域です。そんな訳でお菓子の企画を九博、太宰府で実施したのです。
因みに砂糖が九州から江戸に向けて運ばれた「長崎街道(長崎~佐賀~小倉)」は別名「シュガーロード」とも言われ日本遺産に認定されています。
【イベントの内容は】
九博で開催されている展示企画「きゅーはく秋のツアー・『甘味求心』(12月21日まで)」では甘味やお菓子にまつわる美術工芸品、考古資料、歴史資料などを展示。
『渡辺おさむのお菓子のミュージアム』では、現代美術作家・渡辺おさむさんによるスイーツ・デコ・アートを展示。樹脂でつくられたクリームやマカロン、チョコレートなど本物そっくりの素材をもとに生み出されたカラフルな作品26点が並びました。
『日本遺産シュガーロード&菓子祭り』では九州各地から選ばれた人気のお菓子を販売しました。
7日間で、のべ2,200人の方が来場、約1万点のお菓子が売れました。お菓子の選定や販売スペースのおしゃれなデザインは、女性チームの建築・デザイン会社「アンドローカルズ」にお願いしました。お菓子がよく売れた背景にデザイン力がありましたね。40代とみられるカップルの「お洒落な店づくりでお洒落に並べてあって、買いたくなるね」という会話も耳にしました。
太宰府市内では、甘味処・スイーツショップを周遊し味わっていただく『太宰府スイーツマンス』も行いました。地域の歴史的財産である「菓子文化」を今後もいろいろな形で展開し、継承できれば嬉しいですね。
【太宰府スイーツ巡りのひとつ】
cafe kasanoya~太宰府でお薦めのスイーツ・アートスペース
太宰府天満宮参道にあるカフェ。参道には珍しく静謐で洒落た隠れ家のような空間に、ジャズのBGMがかかる。
店内には民藝の家具が並び、壁には福岡市在住の新進のアーティスト中原未央さんの作品が常時10点ほど掛かっている。写実的に描かれたイチゴやトマトなど果物や野菜をモチーフにしたトロンプ・ルイユ(だまし絵)的な絵画に見入ってしまい、ひとつひとつの作品の奥へと導かれる。
そうしていると、このカフェの空間までが拡がっていく錯覚に陥ってしまう。
2024年に福岡市内で開催された「ART FAIR ASIA FUKUOKA2024」のPRのためのテレビ番組をプロデュースした際に、ここを取材し放送させてもらった。
カフェのオーナーの不老さんは中原さんの絵に日動画廊で出会い、ひとめぼれしたとか。私はというと、以来、太宰府に行った時にはここで、チョコレートショップとのコラボスイーツ「紅梅」や「白梅」をいただきリラックスした時間を過ごす。 (雑誌「THE BASICS FUKUOKA ARTSCAPE#01」より)
筆者:のぎめてんもく
